世界初の布型ピクセルと14年前見えてしまった景色

大学のファッションテック研究:テキスタイルとファッションの未来についての続き。

Fabcell(ファブセル)というネーミングは、当時所属していた大学の研究室の脇田先生によるもの。布(Fabric)と画素ピクセル(Pixel)の造語。単なる”色の変わる布”ではなく、”布型ピクセル”として打ち出したのはおそらく世界初。ポップで華やかなメディア・アート作品をつくりながらも、一見地味にも思えるグラフィックスプログラミングの基礎研究を大切にする研究室だった。

研究室のみんなに手伝ってもらって、ファブセルを100枚あわせて服を作り、はじめて電気を流した日のことはよく覚えている。

無理くり感あるけど、服の柄を変えることができてね。布の質感を保ちながら非発光で色が変わる威力を見せつけられたんだよ。

デジタル素材に色情報が乗っている状態が見えてくるんだよ。今ある布、紙、プラスチック…”色見本”が存在するものすべてが”アナログ素材”に見えてきてね。

ってことはよ?たとえば服に置き換えて、今あなたが着ているアナログな服と、色を自由に変えられるデジタルな服が、見かけ上まったく同じに見えたら、どっち選ぶ?って話。

もっと言えば!色だけじゃなく、形や素材感も可逆的にデジタル変化する素材がでてきたらって。そしたらさ、もう次の瞬間から、

マジで世界が全っ部ファブセルに見えるんよ。
ファブセルに、色と形と素材感の情報が乗っている世界!

大学から家帰る最寄りの駅を歩いてて、ふと床みたら格子のタイルが連続していてさ…。 全身鳥肌がたってしょうがないのと、もはや笑けてきたよね。

だって、今いる世界がすでにCGの中みたいでね。超絶、気持ち悪いのなんのって!!!

出典:http://www.metanetworks.org/autodesk-maya-wireframe/

今目にしているアナログマテリアルは、すべてデジタルマテリアルに塗り替えられていく。

そんな確信を持ったんです。デジタル変化に”見えちゃえばいい”って話なので、物質側でなくとも、VR、あるいは、目や脳の直接刺激とか色々な方法はあるのだけど。強烈な世界の風景が見えてしまった、とある日の出来事。

その後は、特許をとって製品化するべくインテリアプロダクト作って展示会出したけど、そこ止まりだったな。まぁでも当時、物質工学系でもないフツーの(フツーか?笑)女子大生が買える素材を組み合わせただけの、超荒削りな試作品もいいとこ。色が変わる超高性能な布、2,3年後には、どっかの繊維会社が出してくるんだと思ってたよ。

あれから14年。


しかし、思ったより時間かかるもんなんだな、今、動いてみたらどうなるんだろうという好奇心で動いたのが、この半年間の試みだったかな。これを通して再会したかた、出会ってくれたかた、ほんとうにありがとう。