KHギャラリー芦屋(旧小篠邸)を訪ねて

芦屋の山奥、六甲山の坂をあがったところにそれはありました。現在は、コシノヒロコが描いてきたアートを一般公開するギャラリーとして公開されている旧コシノ邸。かねてから、ずっと気になっていて…このたびやっと行けました!

芦屋駅からタクシーで約20分。この奥池という地域、高速の料金所を通ってしか行くことのできない、芦屋のなかでも別格の地域です。30年前はほとんど人が住んでいなかったとのことですが、現在は小さな住宅街になっていました。コシノヒロコ先生が切り開いたのですね。

KHギャラリーのエントランス

嬉しいことに、ギャラリースタッフのかたが丁寧に説明をしていただいたのでより詳しく知ることができました。エントランスを入ると、すぐ右手に琉球畳敷の和室に飾られた墨絵。この和室で長唄三味線の練習も行っていたそう。

正座して堪能!

土地の傾斜を利用した大きな階段を下っていった先にはメインロビー。壁面には、コンクリート打ちっぱなしに負けない、圧巻のスケール感のアートが並びます。

ちなみに、このスカートはコシノです。見事な調和じゃないですか〜!

私は、この家を建てたときのエピソードがすごく好きなんですよね…今や、日本を代表するファッションデザイナーじゃないですか。朝の連ドラの「カーネーション」の題材にもなっているので、老若男女、その存在を知っている。その”成功”ゆえの”ザ・豪邸”って思いませんか?

じつは、この家が建てられたのって、ちょうどこれから世界へむけてステージがあがるタイミング。パリコレのデビューの前に、後には引けない覚悟で大借金して建てた、と。つまりは、”覚悟のお住まい”なわけなんですね。成功のご褒美的にではなく、先にその作品を制作する”場やエネルギーを整えた”というところ、考えさられるものがある。

現在は、ここを過去に制作したアートを展示するギャラリーに改装し、ご本人は近所に新しい家を建築してそこに住んでいます。いまだに平日は東京で過ごし、週末に芦屋に帰る二拠点生活を続けていらっしゃるとのこと。

廊下には増改築も手がけた安藤忠雄のスケッチも展示

1981年着工なので築30年超ですが、まったく時代を感じさせない見事な建築デザイン。依頼したのは、当時まだ無名の安藤忠雄。この作品以降、安藤建築は、かなり大きなスケールの公共建築物になっていきます。住宅としては、住吉の長屋と並んで大変貴重なものになります。

天井が高いリビング、光が差し込むのも素敵。

すでに2000点近くにも描かれたコシノヒロコのアート作品は、地下の保管室で管理されているとのこと。展示テーマごとに、それに沿ったアート作品を上に持ってきたり、KHギャラリー銀座に運搬しています。

リビングから中庭に出られます

しかし、コンクリート建築の宿命とも言えますが、住み手(暮らし手)を選びますね。冬はかなり厳しいらしく、家の中なのにスキーウェアを着ながら過ごすほど。でもそれが却って愉しかったと仰っています。寒いの苦手な私、さすがに耐えられないかも(笑)。

まさに四季を五感で感じながら暮らすこの空間だからこそのファッションデザインの着想や、アート作品の数々が生まれたのに納得がいきました。住みこなしのセンスも日々磨かれるのだろうな、と。

今回は『コシノヒロコ 綺羅 〜東洋と西洋の輝き〜』を開催中でアートだけではなく、過去にデザインされた洋服も並びます。

扇形の寝室棟

昔はここにベッドがあったそう。横の大きい窓から朝日が入ってくるんだろうな〜。曲面の壁も鏡張りになっていたようで、よく深夜に起き出して一人ファッションショーを行っていたのだとか。

真のラグジュアリーの生活を垣間見た気がします。少なくとも私にとって目指すべき理想のライフスタイルの一つとして深く影響を与えたことは間違いないです。優雅な至福の時間でした!

あまり何度も来たい場所はそうそうないのですが、ここはやはり展示にあわせて何度も足を運びたいところです。大きな窓から見える六甲の新緑の鮮やかな季節、得にオススメです。

KHギャラリー芦屋
予約制公開、日曜日のみ予約不要 公式サイト

この後、ここから車で15分ほどの有馬温泉と京都鞍馬への旅が続きます。