「HIROKO KOSHINO 〜 it is as it is あるがまま なすがまま 〜」展

もし尊敬している女性をあげろと言われれば、コシノヒロコをあげますね。デザイナーとして、経営者として、日本文化を嗜み、ハイセンスなライフスタイルを体現する女性として、本当に惹かれる。デザイナー歴60周年を記念して纏められた作品集の完成披露展示会を見て、ますますその思いが強まりました。

「HIROKO KOSHINO 〜 it is as it is あるがまま なすがまま 〜」

2018年年明けに「HIROKO KOSHINO 〜 it is as it is あるがまま なすがまま 〜」が出版され、その記念展覧会が行われています。

約40年に渡る過去のコレクションやアーティストとしての絵画作品が垣間見れる展示会。コシノヒロコの世界観のビジュアライゼーションには、ほんっと感動したんですよね…!

コシノヒロコが問い続けてきたのは、「真の豊かさ」。
そのライフスタイルは、ファッションやアートはもちろんのこと、衣・食・住・遊・休・知・美の日本の文化と重ねつつ、広く他国の文化も柔軟に受け入れる独自の世界を作り続けることでした。

ヒロココシノブランドの理念を可視化し、ブランドロゴもにも反映された「空」「然」「素」「組」「耕」「遊」「色」。

装幀したグラフィックデザイナーの三木健が空間構成も担当。8メートルに及ぶ立体的な表現、またこの世界観を立体化したアクリル作品は、何度も試作品を作りながら試行錯誤されたとのこと。

単に服だけではなく、暮らしのなかに行き交う時間や空間、人間関係をもデザインすることを意識した「色、即是、空」「空、即是、色」という禅の哲学。

空っぽなのに満ちている、満ちているのに空っぽという究極の豊かさ、it is as it is あるがまま なすがまま。

昔のコレクションを見てもまったく古さを感じさせないのは、日本のルーツや伝統的な文化を深く理解しているからこそ、と非常に納得がいきました。

アートとモードの行き来。

ギャラリーの2Fには、芦屋自宅のアトリエ現場風景を再現したスペース。そう!アーティストでもあるわけです。

コシノのアート作品は、水墨画の抽象画しか知らなかったから、こんなエロい絵が出て来るなんてびっくりした(笑)

でも今回の本の表紙にコレを持ってきたのは、やはり意味があることなんだと思う。

女性経営者、デザイナー、アーティストとしてのコシノヒロコ

このパワフルさ。歳を感じさせないどころか、逆サバかと疑いたくなるレベルよね。

にわかに信じがたい年齢は…なんと御年80歳!

傘寿を迎えてもなお、バリバリの現役デザイナーとし、いまだにコレクションの最後に登場します。

40代でパリコレに進出後、本格的にブランド立ち上げています。デザイナーとアパレルメーカーが資本金を出し合って合弁会社をつくるという、当時にしては珍しいビジネスモデルを採用。経営戦略も”デザイン”だと仰っています。

サントリーの佐治敬三氏に誘われ、経済同友会に入ったのも女性では初。

女性の社会進出が遅れていると叫ばれている日本で、そして浮き沈みの激しいと言われるファッション業界の第一線として確実に牽引してきた女性経営者なわけです。

円高赤字を機に、パリコレ撤退した以降、日本市場に専念していますが、最近は中国をはじめとするアジア圏に徐々に受け入れられつつあるようです。

そしてファッションデザイナーの一方で、ファインアートも描き、書も、長唄もやる。

日本文化の嗜みつつ、深く理解するからこそのこの世界観。そして、伝統的なものだけでなく、現代的な新しいものにも敏感に反応する審美眼。

 

 

当時まだ無名だった安藤忠雄のデザインの可能性を感じ、自宅の建築デザインを依頼。

現在はKHギャラリー芦屋として一般公開もされていますが、安藤建築、「住吉の長屋」のデビューから世界的注目を浴びる「光の教会」への過渡期のものとして、大変貴重な建築です。

HIROKO KOSHINO展示会詳細

そんなコシノヒロコの世界を堪能できる展示会は、2/24までKHギャラリー銀座で行われています。

場所は、銀座並木通り、コシノヒロコ本店の地下。

私は割と常連なのですが、今回は特に、デザイナーとアーティストの集大成の企画として、深くコシノヒロコの世界を知る展示会でした。日本のクリエイティブ業界に関わるかたは本当にオススメ。