錦秋の高野山へ DAY1

なぜか数ヶ月前から「空海」「高野山」のキーワードが気になっていたのですよね。紅葉の時期に行けたら最高だろうな、と思いたち、高野山への旅に行ってきました。

昔は、事前情報を叩き込み、雑誌もネットも駆使して、ぜーんぶ旅程を計画していたのですが、特にこの1年は、その日の気分やそのときに入ってきた情報で行き先を決めるスタイルに変化しました。直感を頼りに自分の内側の感覚と直感を研ぎ澄ませつつ、ひたすら流れに任せています。

さすがにこのくらいは読んでおけば?と夫に渡された司馬遼太郎の『空海の風景』。けどさ、まぁ見事に半分も頭に入らなかったよね…。だいたいさ、さらっと漢文が挿入されているし、ちとハードル高けーって思った(笑)。なわけで、結局空海ってどうやら凄いらしいけどどう凄いのか、高野山って何なのか、予備知識はほぼなしでいくことになりました。

空港からレンタカーに乗って高野山方面へ。ダイレクトに行けば1時間半くらいなのですが、『空海の風景』の本にたびたびでてくる大阪府和泉市にある槇尾山(まきのおさん)がふと気になって立ち寄ることに。山を少し登ったところに寺があるらしいので、軽く立ち寄りのつもりが、思った以上に激しい道のり!見渡すと行き交う人が登山杖を使っているので「あれ、そういうとこなの?」とツッコミを入れつつ、最後のキツイ階段を登りきると…

西国三十三箇所参りの一つで最難所クラス。

山を20分登ったところの施福寺(せふくじ)。ここもまあこんな山奥のめっちゃ地味な場所に(笑)これでもかというたくさんの仏像&観音像…見応えありました。西国三十三箇所参りという存在もここではじめて知ったのだけど、近畿周辺の33か所の観音信仰の霊場巡り、四国88箇所の近畿版みたいなイメージですが、じつはこちらのほうが歴史が古いみたい。元気なシニアのおじさまおばさま、めっちゃ頑張ってらっしゃいました。

この槇尾山、もともとは修験道の場所で、だからこそ、空海も修行をするわけなのですが、開祖、役小角(えんのおづぬ)の伝説もあります。役小角は”天狗”伝説もあるスーパー謎の人物。弘法大師(=空海のことですね)と役小角の像もありました。槇尾山のふもとには、満願寺(まんがんじ)という弁財天があり、滝があって登山の疲れもとれる、ホントに気持ちのいいところ!

空海といえば高野山が有名で、ここはホントにめっちゃ地味、山にはロープウェイなどもなくアクセスが悪いのですが、あの空海を「空海」たらしめる原型が形作られたといえる大変貴重な場所になります。…ということが最近よくわかりはじめました(笑)。

空海が仏教をガチでやりたいと、当時この山を拠点にしていた勤操(ごんぞう)を師として出家したのもこの槇尾山。同じタイミングで行ったエリート国僧の最澄とは対照的に、何の期待もされてないフツーの小坊主、空海が入唐(遣唐使で中国での留学)を果たし、仏教そして日本の歴史を変えていきます。遣唐使行きへの支援も、この師匠なくしては厳しかったとも。そして遣唐使から帰国後、中国から持ち帰った文献を整理したところもこの槇尾山。いや整理するどころか超越して、空海独自の一大思想である真言密教を確立したとも言われているんですよね。きっと、この山を登ったり降りたり、滝に打たれたりして、色々思索したんですよ。

結構時間かかってしまったので、高野山を目指します!
が、槇尾山を下山したところの売店のおばちゃんに、偶然みかけた地名「父鬼」って何があるところなんですか?と聞いたら「なんでも昔、鬼が住んでいたらしいよ」という一言で、めっちゃ行きたくなり…父鬼の八坂神社というところに行ってきました。まあ、フツーにいい静かな良い神社。後に調べてみると、役小角(えんのおづぬ)が二人の鬼を従えたそうなんですが、そのうちの片方の鬼の一族が住んでいた地域だそう。鬼を従えるとか、さらっといいますがどういうこっちゃ?ですよね。非常に興味を唆られます。

今後こそ、高野山へ!が…またまた車を走らせている途中で「世界遺産 丹生都比売神社」の看板を目にして…そもそもぱっと読めないのと(笑)あれ?高野山はもう少し先だけど、こんなとこもわざわざ世界遺産登録されているんだ、と無性に気になり急遽向かいました。

丹生都比売神社、にうつひめじんじゃ、と読みます

じつはここも、空海と高野山、ひいては日本を形作る思想や宗教を語る上でなくてはならない場所でした。世界でも類まれな「神仏習合」のスタート地点。空海は、後に、高野山で金剛峯寺を建てますが、境内には、神社もあります。つまり仏様だけでなく地元で古くからいる神様、この丹生都比売(にうつひめ)も一緒に祀ったのですよね。この異なる違う神様を同時に祀るという考え方って世界的にみたら異様中の異様。そのスタート地点がまさにここ、ということで世界遺産登録に大きく寄与することになります。そして、じつは丹生都比売神社の由来をさらっと調べていたところ、とんでもなく深入りをしてしまい、個人的には大きな気づきの場所でした。(これはあとでまとめて書きます。)が、行ったときは、そんなことになるなどつゆ知らず「紅葉と神社、超きれー♡しかも独り占め!」などと浮かれておりました。

日も暮れやっとたどり着いた高野山。今回泊まるのは普賢院(ふげんいん)という宿坊、つまりお寺内のお宿。宿坊に泊まるのは初めてだったのですが、お寺内とはいえ、普通の旅館とほぼ変わらないおもてなしで快適に過ごせました。お風呂も温泉ではないですが心地よかったです。夜のお食事(もちろん魚や肉使わない精進料理ね)をいただきました。

普賢院正門は鐘がついている鐘楼門(しょうろうもん)。

そしてじつはその日、ここから少し車で走らせた龍神温泉行きたいとも思ったのですが、高野山からの道は大変なところらしく、夜はケモノ(鹿とかイノシシ?)が出るとのことで僧侶に全力で止められました(笑)。

残念ですが、そのかわりに夜の散策。ちょうど紅葉とともに高野山の象徴となる大伽藍(だいがらん)へ続く道、金剛峯寺(こんごうぶじ)も含めライトアップからされていて素晴らしい〜!却ってこちらに来てよかったです。他の観光客向けでしたが、お坊さんがお寺のナイトウォーク解説をしていて聞きがなら廻れたのはとても贅沢な時間でした。